beyerdynamic T5p 1st 3.5mm3極 デタッチャブル化, バランス接続用専用ケーブル オーグライン&7NOCC

beyerdynamic T5pを3.5mmプラグでデタッチャブル化(ヘッドホン本体直上でのケーブル着脱化)するご依頼をいただきました

前回更新しました、moshi AvantiのIPXプラグデタッチャブル化と同じ方より、これと同時に・・というかこちらをメインにお考えいただいていたのですが・・製作のご依頼をいただいたものです。
beyerdynamicがお好きな方で、既にT1 3Gも予約されていた頃にメールをいただいて、数か月かけて仕様を策定、製作しました。
数か月分の記録をblog1本にまとめるのは難しかったので、今回も長めです。

 

デタッチャブル化の動機は、同機のケーブル被覆が長年の使用で破れてきてしまった事、また、数か月仕様策定を行っている内に購入されたT1 3Gもお手元に届き、音質比較をされている内に、T5pの音をもっとブラッシュアップできればな~ と考えられた事です。
十分な時間をいただいていましたので掘り下げまくって、ご予算とも相談を繰り返しながら仕様のご決定をいただきました。

まず T5p
こちらは1Gで細いケーブルですね。
10年いかないぐらい、よーく使っておられたので素線に錆も乗って良い味が出てました。
ただ味が出すぎると高域に陰りが出たり、ベールがかかって聞こえたりするようになってしまいますね・・
筐体やドライバーはまだまだ何年もお使いいただけるものですので、デタッチャブル化で返り咲いてもらいましょう。

T5pはT1と同じで円錐状にスラント(傾斜)したバッフル面を持つヘッドホンです。
ここに3.5mmジャックを固定する方法は海外でも国内でもいろいろ考案されていますが、E4UAではマル信製の小型な3.5mmジャックをケーブル穴の位置で入るように少し削ったりして挿入・固定を行ってきました。
これが少し前に閃きを得て、オヤイデ電気製のJ-3.5SRが使用可能になりました。
Audezeと同じように、斜め出しをすればスラントしたバッフル面をかわす事ができますが、これを3.5mmでも行えばbeyerdynamicの2ndや3rdなどのケーブルの相互利用もできそう・・
J-3.5SRなら綺麗なメッキのボディが有るし、そのまま使えば!となってできたのがこれです。

J-3.5SRはボディを斜めに切断し、T5pのシェルとはアクリルで固定しています。
横方向からプラグ・ケーブルが押される事が多いかな・・と考えて、TipとRingの接点は上下に来るようにしています。
内部配線も早々変更できるところではありませんし、良いものを。との事でここはオーグライン+αと+ptをHot側・Cold側に配しています。

T5pはデタッチャブル化もするならケーブルも可能な限り良いものを。
リケーブルで求められる方向性は、T5pの基本姿勢は変えず解像感の向上、それと音場は広めが好み との事でした。
どこかの帯域を強調するものはお好みではないとは聞いていたのですが、オーグラインは音場が広いですのでお勧めしてしまいました。

オーグラインは不思議な線材で、いわゆる「良い音」してます。
仕様策定のメールでは
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T5p用ケーブルの線材ですが、オーグライン+αとの組み合わせでACROLINK7NOCCか、102SSC撚り線での音質傾向ですね・・
大変申し訳ございませんが、私自身この組み合わせを試した事が無いので想像の範囲での回答となりますが、まずオーグライン+αの音質は多量の金の含有により厚い中・低域、それと銀色の線材によくある高域の伸びやかさ(+ptには劣る)、それと解像度の高さです。

これと合わせる線材としてACROLINK7NOCCと102SSC撚り線の、色々な面での違いですが・・
被覆はどちらもテフロン系被覆で同じです。
銅の純度は102SSC撚り線は4Nか5N程度で102SSC撚り線の方がだいぶんと柔らかい、優雅な音ですね。
7NOCCの音はPCOCC-Aにとても似ており、硬質でシャキシャキした音です。
素線径は7NOCCが約0.2sqで102SSC撚り線は0.08sqですので7NOCCが2倍以上の太さが有ります。102SSC撚り線を2芯持ってきても7NOCCの方が太く、できる事なら抵抗値の高い(とされる)純銅の方を太くしてやった方がバランスが取れます。
上記より、オーグライン+αに合わせるには7NOCCではないかな・・と思います。

オーグライン+αの音は意外にも柔らかいんですよね・・
甘辛にしてやった方が美味しくなるので、オーグライン+αが甘とすると、7NOCCの方が辛そう・・という感じです。
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と私も書いていたぐらい、 素線の径や被覆について、音のバランスを取りながら良い音を目指していました。
最終決定としては、オーグライン+α撚り線とACROLINK 7NOCCのツイストになりました。

ケーブルは外装やプラグ構成も綿密に設定されています。
外装は赤・えんじ系の色がお好みとの事で・・そういえばmoshiのAvantiもその色だったな・・とか思いながら、ちりめんチューブのえんじ色をおすすめしました。
タッチノイズを気にされていましたので、これが少ないのはナイロン編組チューブよりもちりめんチューブです。
とくにうずまき柄のちりめんチューブだけは素材が綿で当たりがとても柔らかく・・
衣類と同じ綿素材のケーブルってこんな感じかーと、ちょっと不思議なケーブルになります。
えんじ色に青を乗せられるのがお好きとの事で、Yスプリッターはcタイプ(細いの)の青アルマイトを。
事前に合わせた写真を撮って雰囲気を確かめています。

プラグは当時まだ在庫のあったBispa BSP-STMP-015GS4をヘッドホン側に、アンプ側には最新のオヤイデ電気 P-4.4/5Gを使用しています。
BSP-STMP-015GS4は今では製造終了となっており入手する事ができないのですが、beyerdynamic用としても良い感じの段付きプラグでした。
今はBSP-STMP-015PR4Lというさらに長い段付きプラグになってしまって、beyerdynamicに使うと妙な隙間も見えたりしてあまり格好良く無いのですよね・・
トープラ販売さん、段部分の寸法だけでいいですからGS4と同じ高さ4.4mmにもどしてくれませんかねぇ・・
P-4.4/5Gはそれはとても綺麗なプラグです。
勿論日本製、今までのオヤイデのプラグと製造所も同じようで、ボディも同じです(L型の短いボディが標準なのは何故か分かりませんが)、短くて使いやすいプラグですね。

 

Avantiの時と一緒に、お写真とご感想をいただいています。

2週間ほど聞き込めたので、感想をお送りします。

T5p

Plenue2 mk2 → micro IDSD Signature → T5p で運用しています。
2週目に入り、より安定してきました。
micro IDSD signature だと、ヘッドホンの外で鳴っている感じで、
大袈裟に言えば、HD800かというイメージです。
それなのにボーカルもよく、特に女性ボーカルは鳥肌が立ちます
また、ギターの高音の響き方が素晴らしく、全体的に解像度も高いです。
今まで聞こえなかった音が聞こえます。
音源による差が顕著で、ハイレゾ系24bit 48Hz以上の音源は
凄く余韻と空気感が伝わってきます。
ブラッシュアップというよりは、数段レベルアップしていて、大満足です。
外見は写真の通り、赤→青→赤→ヘッドホンなので、ワンポイントのスプリッターも含め、理想通りになり、とても気にいっています。
さらに取り回しも、ケーブルが柔らかく、タッチノイズもないので、助かっています。

ちなみに、T1 3rd と今回のケーブル、T5p とT1 3rd標準ケーブルも試しましたが、

T5p と今回のケーブル > T1 3rd と今回のケーブル >> T5p とT1 3rd標準ケーブル

という評価です。T1 3rdは、もう売ってしまって良いのかも・・・。

Cayin N8BBでは、音場はヘッドホンの幅の範囲ですが、まとまりの良い音になります。
IDSD signature よりは聴き疲れはしない感じです。 

ああ・・・T1 3Gさん・・
4Gに期待ですが、それは置いといて・・
やはり、T5pに感じられていたのはケーブルの劣化で起きていた音質劣化でした。
ケーブルは、断線しないでいても劣化する、消耗品なのですよね。
他にヘッドホンにはイヤーパッドなど消耗品も有りますが、筐体とドライバーはそうそう死なないのでデタッチャブル化&リケーブルで”返り咲き”ですね。

ありがとうございました。