SENNHEISER IE800 A2DCによるイヤーフックスタイル デタッチャブル化

E4UAでは多くのイヤホンのデタッチャブル化のご依頼をいただいています。
特に多いのがK3003とIE800で、この2機種で半分ぐらいを占めています。

どちらのイヤホンでも内部構造には一切触れずに、外部の構造の変更のみでデタッチャブル化を行っており、音の変化はほぼ無いものとなっています。
有るとすればMMCXや2ピン、A2DCなどのコネクタでのロスですが、これはデタッチャブル化というメリットと相殺していただけるものとしています。

IE800はケーブル穴に搭載可能なMMCXジャックも中華製ですが存在し、これを使用する事でストレートダウン形状のまま小型にデタッチャブル化は可能なのですが、内部構造を弄る事になってしまい、音変化が有るかもしれない・・と考えてE4UAではこの方法は採っておりません。

CIEM2pinでのデタッチャブル化はこちら
MMCXでのデタッチャブル化はこちら

今回はA2DCという、ちょっとニッチな接続形式でのデタッチャブル化のご依頼をいただきました。

Pentaconn EARも良いのですが、A2DC推しな私としてはこの形式を選んでいただけるのがとても嬉しいです。

同様の接続形式でデファクトスタンダードでもあるMMCXと比べて、A2DCの利点は
1. ケーブル側の中心接点がメス
2. 接続後は回転しにくい
3. オス側とメス側が接続された時、隙間が無い
などです。
ケーブル側中心接点がメスになっている事で、劣化しやすいメス側をケーブル側に持ってきて交換する事ができるようになります。
接続後は回転しにくく、接続の安定性が高いです。
隙間が無い事は汗や埃の侵入が抑えられており、MMCXと比べて長寿命です。

逆にデメリットとしては
1. 市販ケーブルに種類が少ない
2. MMCXより少し大きい
ぐらいでしょう。
市販ケーブルに種類が少ないのは、A2DCがaudio-technicaでのみ使われているからで、これは仕方のない所でしょうね・・
MMCXより少し大きいのは、デメリットと言えますがこれも僅差であり、今回のデタッチャブル化の写真を見ていただければ殆どMMCXで製作する時と変わらない程度での製作ができていますので、デメリットとするのもどうかな・・という所です。

ご依頼いただいた方は、IE800は中古で購入されたそうで、そこからさらに使用されてケーブルは十分硬化してしまっていました。
IE800はストレートダウンケーブルのイヤホンですが、ケーブルが硬化した状態でケーブルに触れるとイヤホンが耳から外れやすくなってしまいいます。
音に集中したい時にふとイヤホンが耳から外れると一気に冷めてしまいます。
高音質なイヤホンだけに、ケーブルの材質にも気を配ってほしかった所ですが、IE800sになって変わったのでしょうか・・まだIE800sのケーブルが硬化したという話は聞かないですが・・

今回はMMCXには脆弱性が有る事をお伝えし、ご自身でもこれについてよく調べていただき、私がお勧めしたA2DCでのデタッチャブル化にされました。
A2DCは上に書いたようなメリットが有り、audio-technica次第ですが今後にも期待できる接続形式です。

またデタッチャブル化形状はイヤーフックスタイルにされました。
イヤホンは上下・左右を入れ替えてお使いいただきます。
上下・左右を入れ替える事で耳道に沿ってイヤーピースが向くようになり、ケーブルも接続しやすくなります。

 

ご感想をいただきました。

さっそく用意してあったケーブルを繋いで試聴してみました。
IE800はその小ささのせいか、聴いているうちに耳の中で動いてしまって音が安定しないこと、ケーブルが硬化してしまっていることもあってタッチノイズの大きさも気になっていました。

今回お手を煩わせて改造していただいた結果、その両方が改善されてより一層音に集中できるようになりました。
ありがとうございます。
ケーブルは MOGAMI 2944 で作成してもらいました。
IE800独特のキラキラした高域を損なわず IE800本来の音が鳴っているような気がいたします。 

IE800も、純正のケーブルは銅リッツ線ですね。アラミド繊維がたっぷり入って引っ張り断線にとても強い構造をしていますが、被覆が皮脂に弱いのが玉に瑕です。
お使いのMogami2944も高品質な銅線で、IE800の音バランスを崩さずブラッシュアップできそうに思います。

ありがとうございました。