AKG K812改修 GND分離化・バランス接続対応化 専用ケーブル Mogami2799(core)デュアルモノラルツイスト

K812の改修のご依頼をいただきました。

K812.. いいですよね・・頭に入るひと・・
私、K812の音は好きですがあああたまに入らない人なんです。
申し訳ないのですが製作中・製作後の試聴の時も、私の頭には乗せないようにしています。破壊してはいけませんから・・
試聴会などで無理やり耳の下で押さえて聴いた音は、とても良いものでした。欲しい。とも思うのですが、買えないヘッドホンなのです。

まぁそれはおいといて
ご依頼いただきましたK812は、保証期間も切れたしでご自分で分解されて断線修理をされた機体でした。
一度は修理が成功し音も鳴っていたそうですが、他の場所での断線も起こったのを機に改修ができる所を探しておられたそうです。

K812/K872の分解ポイントは、ヘッドバンドとハンガーを接続するボルトです。
何本かは緩めるのに成功されたそうですが、何本かは舐めてしまったそうで、まだらに普通のM2のネジに変更されていました。
今後そうそうご自分で分解される事もないとは思いますが、分解に必須の
”超小さいトルクス緩め”それもカッチコチに締めてある、道具泣かせのネジは、日本ではそこそこ普通の六角に変更しました。

殆どのヘッドホンは分解できる構造になっているので修理するのも良いのですが、K812はフレキシブル基板を配線に使用しているのもあって断線しやすいみたいですね・・
今回はフレキシブル基板を大幅に削除し通常の銅線に置き換えましたので、今後の断線の可能性をぐっと下げる事もできていると思います。

製作中の写真です。
今回はヘッドバンドのフレキシブル基板を残し、ハンガー部のフレキシブル基板とヘッドホン内部配線を全てオヤイデ電気の102SSC撚り線に張り替えました。

GND分離化においてはコネクタをLEMOの0B番4極に変更し、左右のGNDを分離させました。
LEMOの0B番とは、K812の標準は00番(LEMOの中で最小形状)の3極なのですが、それより1サイズ大きいものです。Utopiaが0B番の2極を使っていますよね。
0B番は00番より大柄なので、レセプタクル(メス側コネクタ)も、ハンガーも、がっつり削らないと入りませんが、入れました。
…純正のLEMO 00番レセプタクルもほぼ全て削り取って除去しています…

専用ケーブルは線材にMogami2799の芯のみ、ナイロン編組チューブに通線したものを片チャンネルにつき1本ずつ使用、ストレート部ツイスト仕上げ、アンプ側は据え置きの標準でもあるXLR4極 NEUTRIK NC4MXX-Bを使用したものです。

LEMOの00番ではこのMogami2799の芯のみ2セットやBelden1804Aを2本とかも入らないのもあって、金属加工部が多いので製作費は上昇してしまうのですがLEMO 0B番でのGND分離化をお勧めしています。

 

ご感想をいただきました

2年ほど断線で使用できなかったため直接音質の比較はできないのですが、初めてK812の音を聞いた時以上に感動しました。繊細な音は繊細に力強い音は力強く、フレッシュな音はフレッシュにアシッドな音はアシッドに…まさにパフォーマー、ミキシング、マスタリング、音楽に関わるすべての人の意思が聞こえてくる感動を思い出しました。
本当にありがとうございました。
今後多少の変化はあると思いますがケーブルの選択も良かったようで、久しぶりに数時間連続して音楽を楽しみました。

後日談として

ご存じの通りk812は構造的に断線しやすく、自分と同じように断線した状態で死蔵している方も多いと思います。断線の修繕に加えGND分離化で最近の高級ヘッドフォンにも勝るとも劣らぬ音を得られると思いますので、前述の感想に「k812オーナーには自分と同様の修繕&改造がおすすめできる」とぜひ書き加えください。

ともいただきました。

バランス接続に対応させた上で復活させる事ができました。

ありがとうございました。