Fostex TH909用ケーブル Mogami2534 Viablue BraidedMeshSleeve仕上げ *Numberd
Fostex TH909用ケーブル製作のご依頼をいただきました。
今回ご依頼いただきました方、純正ケーブルは長すぎて重く、また音が硬い事が不満に思われていて、E4UAにご相談をいただきました。
当初のご相談いただいた内容は、純正ケーブルを120cmにリサイズし、お手元のViablue T6s 6.3㎜TRSに変更するか、もしくは暖色で女性ボーカルに艶が乗りやすいケーブルを作る事ができないか・・というものでした。
ご自分でもリケーブル市場を探されたそうですが、長さの面では市場のケーブルは殆どが据え置き環境用で300cm程度の長いものしか無い事や、温かい音のケーブルというのは実際のところ少ないようで困っておられました。
据え置き環境というのも使われている雰囲気は皆さん違うものでしょうし、300cmのケーブルは余らせてしまう事も多いと思います。
特にTH909は開放型ですから、これの短尺ケーブルはもしかしてあなた外で使う気ではないでしょうね?みたいな圧力を、メーカーからかけてくるかのような商品展開ですよね。
そんなの自由で良いと思うんですけどね。
私は開放型を外で使い、密閉型を家で使う人なので、長尺しかない開放型ヘッドホン用ケーブル市場に石を投げたいと思います(笑
E4UAではケーブルのリサイズも、ケーブルを製作する事も、どちらも可能である事をお伝えし、ケーブルを製作する際はMogami2534がいいのではないかなーと思いましたのでこれをお勧めさせていただきました。
Mogami2534はE4UAがリケーブルの世界に入るよりはるか昔から、ヘッドホン用に転用されているケーブルです。
元はPAの世界において長距離の引き回し用の線材ですが、使用されているNeglex OFCの質の良さと被覆材質のチョイスの良さで業界標準ともなっている線材です。
E4UAを立ち上げた最初の頃はよくこれでHD25用ケーブルを製作していましたが、ヘッドホン用に使用した時の音は「暖色で厚い音」「深く沈み込む低域」「艶の乗った中・高域」が特徴と考えていました。
この考えは今も変わっておらず、たまにHD25改に装着して聴いていますが、なるほど昔から皆がヘッドホン用に使ってきたと分かる音だと思います。
外装はE4UAでは基本的にまず最初にナイロン編組チューブ仕上げをお勧めしているのですが、部品のページからViablueのBraidingMeshSleeveを見つけていただき、これのNeon色にされました。
どうやらViablueの同じ色のUSBケーブルもお持ちとの事で、また今回はアンプ側プラグはお持ち込みいただいて製作したのですが、このプラグもViablueで恰好良いプラグですよね。雰囲気もお好きなのだと思います。統一感も出ますしViablueスリーブでの製作となりました。
E4UAで在庫する細線用ナイロン編組チューブにMogami2534を通線するのはなかなか入っていかず難しい作業なのですが、Viablueスリーブは結構太い線材まで対応できますので通線する事は比較的簡単です。ただ、通線した端の部分がかなりバラバラになってしまって歩留まりが悪い傾向が有りますね。この辺きちんと処理してやらないと綺麗で恰好良いケーブルにならないので、きっちりと収縮チューブとグルーなどで束ねて固定しています。
ケーブルブーツは見えていませんが、E4UAでは全てのケーブル(のプラグ)にブーツを入れています。
2015年ぐらいから内装するようにしていますが、線材と外装の間に収縮チューブでブーツを形成し、外からは見えない形でこれを形成しています。プラグ周りがすっきりとしたものになりながら、ブーツの劣化も防いでおり、一石二鳥なんです。
Viablueスリーブで内装ブーツを形成するのは、特にヘッドホン側プラグは内容積が殆ど無いので結構難しいのですが、今回は綺麗に収める事ができました。
ブーツは収縮チューブで形成していますがここに使用するものは極薄タイプを使用し、これの長さも等比的な長さで取り付け、もし真横にケーブルを引っ張っても綺麗なアールを描いて曲がるように、工夫に工夫を重ねています。
それもこれも、断線が嫌いだからです(笑
皆さん大事にお使いいただいているのだと思いますが、E4UAでご購入いただいたケーブルは断線しにくいらしいです。
私も断線しないように製作しているからだと思いますが、昨年度は断線のご報告がありませんでした。その前は1本有ったかな?といった感じです。
パッと聞きの印象ですが、音が近くなり音像も太くなってパワフルな音になったという感覚です。
TH909の素性の良さと相まってJ-POPとの相性もとても良くなったなと思いました。
特に重視していた女性ボーカルの部分も、硬さがほぐれていい感じになりました。
加えて今まで鬱陶しかった3mの重たいケーブルから開放され、やっと快適に聞くことができるようになったという、
精神衛生的にもプラスになったことを含め、ご依頼してよかったと思っております。
とのご感想をいただきました。
音楽は精神に効きます(聴きます?)から、使用感や見た目の精神衛生は良いに越した事がありません。今回は外装に今もお使いのUSBケーブルと同じ外装を選んでいただけたのもあると思います。
音質の面でも7N銅の硬い音から、Neglex OFC(日立系の4N程度の銅らしいです)の柔らかい艶の音に変わり、パワフルで柔らかい音というリスニングにはぴったりのヘッドホンになったようで、私の読みは外れてなかった・・とちょっと胸をなでおろしています。
ありがとうございました。
P.S.
私が屋外で使用する開放型ヘッドホンはSENNHEISER HD600 DMaa MOD+PC-Triple-C/EXリケーブルか、SONY MDR-MA900デタッチャブル化改+ACROLINK極軟銀メッキ6NOCCリケーブルです。
街なら雑踏の音、電車ならアナウンスや車輪の音、郊外なら風の音、鳥の鳴き声、草木の揺れる音、コンビニに入ればそのまま会話も可能・・こういった環境音と音楽を常にMixしながら聴いています。
そして耳の横で流れる音楽は私のいつも聴いている「好きな音」です。
好きな音楽は勿論音の運びも音色も知っていますので大音量である必要性は全く無く、真横に人が居てて肩が擦れ合うような距離でも音が漏れて不快にさせてしまう事もありません。
奇しくも今はウイルスが蔓延する世の中で、ソーシャルディスタンスを取る生き方の時代です。
開放型ヘッドホンで小音量で聴いていても自分以外ほぼ誰にも聞こえない。
でも雑踏の音は聞こえるので全く危なくない。そのまま会話もできる。
開放型ヘッドホンは、屋外でも”使え”ますよ。
このblog始まって以来初めて、音源について書いてみます。
私がお勧めする開放型ヘッドホンと合う音楽(の中でもちょっと変わったの)
3選
普通の音源紹介しても面白くないでしょうから(笑
ひとつめ
Brian Eno – Music for Airports (YouTubeリンク)
1年と少し前までは空港は人と飛行機でごったがえしていました。
今の閑古鳥が鳴く空港を、誰も想像できなかったでしょう。
Brian Enoはとてもたくさんの楽曲をリリースしていますが、これほどに空港に合う音楽は無いと思います。
今の空港は人も飛行機も居らずちょっと寂しいですが、開放型ヘッドホンとこの音源が偶然にも空港にあったら、是非聴いてみてください。
多分、ワープできます。
ふたつめ
The KLF – Chill Out (YouTubeリンク)
ほぼ、寝る時用の音楽かもしれません。
私は大学時代にこの音楽を、音友から教えてもらいました。
それ以前からこういうまったりとした音楽は好きでしたが、ここからChilloutというジャンルを知り、さらにハマっていったのでした。
なので私のChilloutハマり記念アルバムです。
みっつめ
環境音楽 – V.A. (Spotifyリンク)
私は幼稚園の頃から地球が好きでした。
加古里子さんの「地球」という絵本を読んで、読書感想文を書いたぐらいですから(笑
そこから少し時は流れ、小学生の頃にNHKで放送されていた「地球大紀行」という番組のOPテーマが好きすぎた所からこういった音楽にハマっていったのだと思います。
そしてこの環境音楽というアルバムには、その地球大紀行の音楽を担当された吉川洋一郎さんが音楽を提供されています。
個人的には必聴アルバムです。