audio-technica ATH-W100 3.5mm3極によるデタッチャブル化 純正ケーブル分岐化改修

ここのところヘッドホン・イヤホンの改修のご依頼をよくいただくようになってきました。
片出しヘッドホンの両出しデタッチャブル化や、両出しヘッドホンのデタッチャブル化、イヤホンのデタッチャブル化などは、これを行うと勿論メーカー保証は無くなってしまいます。ですので改修は1発で決めないといけません。
そして改修したものはコネクタの接点不良などが起きず長期間お使いいただけるものでなくてはいけません。

E4UAではこれら改修を行う際、元の状態に戻すという事を一切考えずに製作にあたっています。
E4UAが出てくる以前からデタッチャブル化は、特に海外では行っているガレージメーカーも有ったようですが、だいたいどのメーカーも元に戻せるような改修を行っているようでした。
ですがこれに私は意味を見出せなかった。
デメリットしか感じられなかったので、よりスマートな形状を考えるようになりました。
殆ど有りませんが、ジャックの接点不良などが出て修理を行うのであれば、これを破壊して綺麗な状態に戻す事ができるのは製作者ですから、私に依頼されるものと考えて、より固定が確実で、別なパーツを使わない改修を行うようにしています。

今回ご依頼いただいたaudio-technicaのATH-W100も、そのような改修を行っています。

このATH-W100というヘッドホンは、元は片出しヘッドホンです。
ですが右側(ケーブルが出ていない方)のフレームには、ケーブル出口と思しきパーティングラインが薄っすら残っています。
多分、金型は左右同じものを使用し、ケーブル出口の無い方はこれを塞ぐ金型パーツを使用して製造されているのだと思います。
分解してみたところ、ケーブルが出ている左側と、ケーブルが出ていない右側は内部構造は殆ど同じでした。これは左側がデタッチャブル化ができるのであれば、右側も同じようにそれができるという事を示しています。

ケーブル出口のブッシュを外した状態の内径と同じぐらいの外径の3.5mmジャックを探してみたところ、BispaのBSP-J3P-35TNN5(トープラ製)が殆ど同じ外径をしていました。
BSP-J3P-35TNN5はプラグボディがあり、これを取り付けるネジが切ってあるのですが、このネジ部分とヘッドホンのフレームを少し削るとそのままスポっと入るのを確認し切削して挿入、接着剤で固定しています。
オヤイデの3.5mmジャックJ-3.5SRも良いものですが、トープラの3.5mmジャックも厚い金属バネで作られており、パチンという接続で高級感が有ります。多分接点圧も高いのだろうと考えます。

また今回は純正ケーブルを分岐化する改修のご依頼も同時に頂戴しました。
純正ケーブルの音質でも問題無いとされていましたし、特にアンプ側プラグのボディがウッド削り出しでとても良い雰囲気である事から、これを分解せずに分岐ケーブルに改修する事を承りました。
このケーブルはお使いの環境がアンプからそう遠くないとの事で、純正の300cmケーブルを85cm程度に切断し、35cm程度の分岐部ケーブルに使用する分を半田付けし、マホガニー削り出しのYスプリッターを取り付けたものです。

ヘッドホン側プラグはヘッドホンのフレームの色と合いそうなものを数種類ご提案し、BispaのBSP-STMP-015GS4にされました。
BSP-STMP-015GS4はとても精密なプラグで軸ズレなど一切無く、また樹脂の耐熱性も高い高品質なものです。
アサインはSONYやbeyerdynamicと同じにしており、特にBSP-STMP-015GS4はbeyerdynamicの2nd, 3rd Generationシリーズにもそのまま使用できるもので、細身で小型なプラグを取り付けました。
ケーブルブーツはアンプ側プラグと雰囲気を同じにして外装式とし、これを収縮チューブで製作しています。

 

ご感想をいただいております。

写真で見るより、手に取ると質感があって素晴らしいです。
ケーブルの方も プラグの段に赤青のぽっちりを入れていただいたようで
ヘッドホンに付けたときアクセントになり、とても気に入っています。
スプリッターも写真より落ち着いた色で、ケーブルの質感を押し上げているように感じます。
使うのがもったいないぐらいです。

音質についても、こんなに良い音がしていたかなと驚くほどです。
もしかしたら、会社で常用している stelliaを置き換えるかもしれません。
当時のオーテクが込めた思いと E4UA様の丹念な仕事が心に染みます。

とても素晴らしい製品にしていただいて、感激しています。 

ヘッドホン本体、ケーブルともに仕上がりには十分ご満足いただけました。
また音質の面でも、純正ケーブルの筈なのに、間に接点が増えているのに、両出し化によってブラッシュアップが図られたようですね。

ありがとうございました。