DENON AH-GC30用ケーブル Belden82760 & 82760core3芯ツイスト

DENON AH-GC30用ケーブル製作のご依頼をいただきました。

AH-GC30というこのヘッドホン、筐体はAH-D1200でBTとノイキャンが搭載されたモデルですね。
製作のご依頼をいただいた当初はこのヘッドホンでGND分離もしくはバランス接続を考えられていたのですが、ほぼ全てのアンプ入りヘッドホン(BTやノイキャンの入っているもの)は、内蔵のアンプのGNDが分離されている事は無く、シングルエンドのみの接続が可能である事をお伝えし、シングルエンド専用ケーブルの製作となったものです。

線材は、当初よりBelden82761をお考えでした。
この線材、E4UAでは在庫していないものですが、音は良いようでヘッドホン用として転用されている方は多いようですね。
半田付けの際に被覆を剥いていますが、内部の芯線は88761と同じテフロン系被覆の錫メッキ銅線でした。
82761は2芯ツイスト+シールド(ドレン)の線材ですので、シングルエンドケーブルを製作するにはちょうど良いのですが、なにしろ88761と同じで硬すぎますね。比較するとジャケットが少し柔らかい82761の方が柔らかく感じますが、それでもケーブルだけで軽量なDAPであれば持ち上がるような硬さです。
この線材をナイロン編組チューブ仕上げ無しの状態では硬いものに触れるとカツカツという派手なタッチノイズが入り、またワイヤーのしなるキュンキュンという音が入る事もあり、さらにはケーブルが持ち上がると側圧の弱いヘッドホンだとヘッドホンまで連動して持ち上がってしまうぐらい、使いにくい線材です。
出来上がったものは上の写真のように、束ねておかないとぶわーっと広がってしまうもので、いつものプラグを前面に出した撮り方もできませんでした(汗

 

想像したとおり、音の分離や定位が良くなってピアノもギターも実在感や瑞々しさが増してより楽曲に入り込めるようになりました。
純正ケーブルに戻すと低音がボワボワした印象となり音の分離も悪く感じるので、リケーブルの恩恵は確実にあります。

ただし、静止を振り切って選んだBelden 82761は、88760や88761に比べれば柔軟性はありますが、やはり針金のようなものなので、少なくとも屋外に持ち出して電車の中で使うのは難しいと思いました。

とのご感想をいただきました・・
音質の面、使いにくさ、全てその通りだと思います。
屋内で、ゆったりした所でしか、ちょっと使えないものだと思います・・

 

そしてそれから少し経ち、この82761の音をもう少し使いやすくならないか・・と考えられ、初めの頃におススメしていた「芯線を抜き出して3芯もしくは4芯のツイスト+ナイロン編組チューブ仕上げ」を試してみたいと考えられ、そちらもご依頼いただけました。

それがこちらです。
ジャケットとシールドを撤去する事で、ようやっとプラグを前面にした写真が撮れるぐらいの柔らかさになりました。
(プラグや軸が赤いのは、私が赤いシャツを着て撮ってしまったからです)

硬さとしては、ぎりぎりなんとか電車でも使えるかな・・?程度には柔らかくできました。
芯線もテフロン系被覆ですのでかなり硬く、ツイストする時は指が痛かったです(笑
音質的には・・ほぼ、シールドの有無での比較になるのですが、微妙な違いは有ったそうで・・

結論から書くと違いは存在しました。
女性ボーカルなどには違いを感じませんでしたが、楽器の低音の制動、弦の生々しさなどわずかにオリジナルの方が上回ります。
そのあたりがオリジナルの被覆材の効果なのでしょうか。

ただし違いが気になるのは特定の曲の特定のパートぐらいで、
普段使いではナイロン編組チューブの柔軟さが助かるのでありがたく両方使わせていただきます。

とのご感想をいただきました。
音の違いについては、82761のシールドであるベルドフォイル(の表面)は非導通であった筈で、またドレイン線(GNDとして使用)も芯線と同じ径(22AWG)であり仕様だけを見れば芯線の3芯ツイストも同じものなのですが、ツイスト数は同じではありませんので、この辺で違いが出てきたのではないかな・・と考えます。
ただし違いはかなり限定的との事で、芯線抜き出しツイスト+ナイロン編組チューブの方が比較すると柔らかくできていますので、この点では良いものになったようで良かったです。

ありがとうございました。