USB Type-C 対 MicroUSB(B)ケーブル PC-Triple-C EX
USB Type-CからMicroUSB(B)へのOTGケーブル製作のご依頼をいただきました。
USB Type-Cは最近広まりつつあるUSBの新機軸ですね。USB3.0を内包したまま小型化し、さらに表裏の無いデザインで使いやすさの向上まで図られた便利な規格です。ただ、便利さの裏にはやっかいな部分がつきまといます。使用者からすると、USB Type-Cはまだまだ出てきた所ですので対応機器が少ない事が有りますし、製作者からすると、それをどう作ればいいのか情報が少ない事などがあります。
以前よりUSB Type-Cを使用したUSBケーブル製作のご依頼は何件かいただいておりましたが、実はE4UAの中の人であるこの私、少し前まではUSB Type-C対応の機器を所持しておりませんでした。この為、製作するものが正常に使用可能かどうかを調べる事もできなかったのです。
ですが先月、スマホを水没させてしまい、晴れてUSB Type-C付きのスマートフォンに機種変更する事ができました。これで、製作したものが使用可能かどうかを判定する事ができるようになりました。
早速中国より、OTG用の抵抗器が付いていてUSB2.0接続用の、Type-Cプラグ軸を取り寄せてテストケーブルを製作しました。これをDAC内蔵ポタアンとスマホを接続して、正常に使用可能な事を確認し、ケーブルを製作できる環境ができました。
今回いただいたご依頼は、線材にPC-Triple-C EXを使用するものです。線材はお持ち込みいただいたものを使用したのでその入手方法などは分かりませんが、被覆を剥いてみた所、きちんと銀色をした単芯の導体が現れました。
本来であれば特性インピーダンス(90Ω)を満たした線材でないとUSB2.0の規格は与えられません。ですので私の製作するUSBケーブルは正しくはUSB2.0ケーブルではないのですが、実際の所はきちんと接続してやれば繋がり、使えてしまいます。ですので、今回の製作ではシールドをきちんとしてやる事を第一と考えて製作しました。USBケーブルで高音質化なんてできるのかな?と思う所ですが、変化が有るのだから面白い所ですし、殆ど売られていない両側L型のケーブルは使い勝手が良いと思います。
持ち込みいただいたPC-Triple-C EX線材は45cm程度のものが2本でした。これから、USBケーブルを製作します。
USBは4芯+シールドが有れば伝送ができます。2本がデータ線、2本が電源線です。
まずデータ側として2本をツイストし、これを銅箔テープでシールドします。さらに2本をツイストしたものと撚り合わせ、それをもう一度銅箔テープでシールドします。さらにこれをニッケルメッキ編組シールドに通し、収縮チューブで固定、ナイロン編組チューブ仕上げとしました。
データ側はラップシールドx2と編組シールドの合計3重のシールドで保護されており、ノイズの入る隙は有りません。
この状態の線材を長いものと短いものに分け、片方にはUSB Type-Cプラグ、もう片方にはMicroUSB(B)プラグを取り付けて、L型プラグはボディをアクリル形成、ストレートプラグは通常のプラスチックのボディを取り付けました。
使われるのはXperiaとVAIOのUSB Type-Cから、OPPO HA-2SEへの接続との事でした。
短いものはXperiaからのポータブル用、長いものはVAIOからのショートケーブルとの事で、現在考えられる最強かもしれない線材を使用したものです。
今回はかなり入手の難しい線材を使わせていただけました。USB Type-Cケーブルの製作も問題なく行えるようになりましたし、PC-Triple-C EXは無理ですがこの他の線材でも製作のご依頼は受けようと考えています。
ありがとうございました。