beyerdynamic T1 HD800式デタッチャブル化
beyerdynamic T1 デタッチャブル化のご依頼をいただきました。
新機軸であるT1 2nd Generation(以後T1/2G)はケーブル出し位置は後ろに持ってきた上でケーブルは前に出るようなジャックの位置になっています。これはプラグ自体は硬く曲がらないものであり、プラグから出るケーブルが肩に当たらないようにする工夫でしょう。
今回ご依頼いただいたT1は内部に傾斜したバッフル面が有り、ジャックの取り付けができる容積はかなり小さいです。ジャックをヘッドホンシェルから外部に移動する事ができればこの容積を大きくする事はできるのかもしれませんが、そのようなパーツが有る訳でもない為、3.5mmや2ピンなど色々な形式でのデタッチャブル化は可能である事もお伝えした上で、内部にはみ出すサイズが比較的小さいHD800仕様のジャックを使用し、デタッチャブル化を行いました。
また今回は初めての試みでケーブル出し位置(ジャックの位置)の変更をご提案させていただきました。これはHD800用ケーブルは大抵のものがそのヘッドホン側プラグが大きなもので、プラグから出たケーブルが肩に当たり快適とは言い難いものになる事がある為です。前述の傾斜したバッフル面を避けながらジャックを前側に持ってくるには、角度的には15度程度しか移動できないものですが、少しでも前に持ってくる事でケーブルが肩に当たってしまう事は回避できる可能性が有ります。音質的にも高級機であるHD800に使用されているものですし、他にも高級オーディオ機器にも使用されているものですので問題無いものです。
内部配線はBelden1804Aを使用しています。Belden1804Aは銀メッキのOFC線ですが、変な帯域の盛り上がりも無く、超低域から超高域まですっきりと鳴らし切る優等生タイプです。使用部分は内部配線でごく短い区間ですので音質に与える影響は少ないですが「もう少し低域をすっきりさせたい」とのご要望もいただいておりましたのでこちらの線材をお薦めさせていただきました。
ご感想をいただきました。
結論からいうと全てにおいて高い満足度を得ることが出来ました。
私の好みであるT1 初代の音を引き継いだまま、T1 2ndの魅力であるリケーブル可能な斜め出しジャックという要素を取り入れ、まさにT1 初代とT1 2ndの良いとこ取りのような1品に仕上がっていると思います。
コネクタ部分もしっかり埋め込まれていて邪魔になりませんし、グラついたりせず安定感もあります。
若干ですが内側に角度がついているのが気になりましたが、実際にケーブルを差して使用してみたところ何の問題もないことが分かりました。改造品ということを考えると、十分自然な仕上がりと言えると思います。
今回の製作依頼では仕様が2転3転してしまい面倒をおかけしたと思いますが、何度もやりとりをして細かい仕様を決めていくことができたため安心感がありました。
また、こちらの理解が足りない部分を補完してくださったり、よりよいモノにするために提案してくださったおかげで満足度が高く、所有欲を満たしてくれる1品になりました。
こうした丁寧な対応もE4UA様の魅力の1つだと思います。
今回の斜め出しジャックはE4UAでも初めての試みでもあった為、十分な回数のメールでの仕様詰めを行いました。十分ご満足いただけるものができたようで良かったです。
ありがとうございました。