Fostex TH900mk2用ケーブル ACROLINK銀メッキ7NOCCツイスト 120cm ワインレッド

 

Fostex TH900mk2用ケーブル製作のご依頼をいただきました。

TH900mk2はTH900のブラッシュアップ版として発売されたものですね。ドライバーやシェルの材質などは変わらず、リケーブルが可能になった事や使われる線材の質が変わった所が変更点との事です。
ただ、リケーブルを行うにはヘッドホン側プラグは若干特殊な形状をしており、専用設計のプラグは発売が有りません。メーカー純正以外でのリケーブルは若干ハードルが高いヘッドホンと言えるかもしれません。

今回使用しました線材はACROLINK銀メッキ7NOCCです。これをツイストし、編組チューブに通す事で柔らかく使いやすいケーブルに仕上げました。ワインレッドの編組チューブは、色の名前ではボルドーとも言いますがTH900mk2のヘッドホンシェルと似た色をしており統一感が有ります。
同線材の音質は素線が極細である事から銀の割合が多く、他の銀メッキ線よりも銀の表情が多く出る傾向を持っています。ですが全くの銀線ではなく素は銅線ですので銀線のようにレンジががらっと高域に移行したりする事もなく、低域から高域まで解像度高く鳴らしきります。線材1本は太すぎない太さで、これをツイストし編組チューブ仕上げとしても十分細身で使いやすいケーブルができます。銀色を見せたい方には透明収縮チューブによる外装を形成する事もお薦めする事が有りますが被覆が比較的強いものですので外装無しでも十分使っていただけます。
また今回はYスプリッターの新製品をご指定いただきました。Yスプリッターはこのサイズでは重量増加(タッチノイズ抑制)にはならず装飾の域を出ないものですが、普段の収縮チューブ仕上げのスプリッター形成と比べとても華やかなケーブルを使っていただく事ができます。耳の位置にはプラチナ箔FOSTEXロゴon燻し銀のボルドー漆、胸の位置にはピンクゴールドメッキ&綾織りガラスマットが輝くのでしょうね。

ヘッドホン側プラグは今回の製作において最も苦労した所です。ただ幸いにも純正ケーブルをお貸しいただけましたのでほぼ同じ形状で製作する事ができました。
TH900mk2に使用されている端子は補聴器などにも使われるJISC5512端子ですが、SENNHEISERでは極性が逆でヘッドホン側への埋まりこみが有ったり、このTH900mk2で言えばヘッドホン側埋まりこみがSENNHEISERとは少し違った形状になっていたりと、軸部分の形状は同じでもそれ以外の部分はメーカーによってまちまちなのが現状です。今回のTH900mk2で言うと、プラグ部分にロックが有り、埋まりこみ部の寸法はSENNHEISERとほぼ同じながらも長さが少し違う事からHD650用プラグの流用は不可能でした。ですので今回はプラグに強度が必要な事も有り、FitEar用プラグを流用する事にしました。
FitEar用プラグは軸部分はそのまま、埋まりこみ部は少し薄く削り、ボディはアクリル形成としました。このプラグはボディ部が十分な強度を持っています。素材的にはアクリルとは融合しない材質ですがアクリルが食い込むような形状にしてこれを盛り付け、ボディ部と同時に削り出しを行いました。少し小さめのボディになりましたが純正プラグと同様の形状にして製作し、L/Rを示す青/赤の識別を設け、形状以外でも左右を判別できるように仕上げています。

アンプ側プラグは高品質な軸の中村製作所製NP-254プラグです。平織りカーボンのリングの意匠とアルミ&金メッキのボディが高級感を醸します。軸の品質もとても高く、ボディが太いので接続時の安定度が他のプラグよりも高く、またこのボディが比較的短い為取り回しも良いプラグです。

 

お写真とご感想をいただきました。

ケーブル昨日受け取りました。
早速使わせてもらってます。
プラグ部分をキレイに成形して頂けました事が何より嬉しいです。
純正プラグと比べるとパチっと感はありませんが逆に引っ張てしまった時に抜けてプラグ、ケーブルに負担がかからず安心かなと思います。

銀メッキ線のバランスケーブルの音は純正に比べてかなり腰高な感じで、最初は高域のシャリつきが結構気になりましたが今では特に気にならなく(耳が慣れたか??笑)銀特有の見通しの良い澄んだ音を出してくれています。
低音は純正バランスケーブルに比べるとやや量が減りますが、元々th900はかなり低域が豊富なのでタイトに鳴らしてくれる感じはこれはこれで良いなと思えますね。

純正はやや低音よりのバランス重視で落ち着いて聴けます。
それに比べてACROLINK銀メッキの方は刺激的なサウンドといったとこでしょうか。
今後は気分によってこの2本を使い分けできるので大変満足です。

純正の線材は7N銅、ACROLINKは銀メッキの7N銅で、銅の純度は同じですが銀メッキ、それもその量が多く、銀の表情が多く出ます。TH900mk2においてもこれが腰高で澄んだ見通しの良い音として現れたようです。
TH900mk2は評価する人によっては既に刺激的な音として捉える方も多いようですが、それがさらに刺激的になるとすると少し音源を選ぶケーブルなのかもしれませんが、それを必要とする人にはもってこいなものかもしれません。

ありがとうございました。

 

Fostex TH900mk2用ケーブル 120cm
分岐長30cm
線材:ACROLINK銀メッキ7NOCC
外装:ナイロン編組チューブ ワインレッド
外装:YスプリッターC ピンクゴールド
ヘッドホン側:FitEar用プラグ アクリル形成プラグボディ
アンプ側:2.5mm4極 中村製作所 NP-254
商品代 36500円 (価格は製作当時のものです)