Etymotic Research ER-4S用バランスケーブル Belden1804A 120cm ブラック Vishay VAR 追記有り
Etymotic Research ER-4S用ケーブル製作のご依頼をいただきました。
同イヤホンですが、このあいだ次世代機種が発売されました。音質的には今後のレビューを参考にする事にして、色々と改良が加えられているようですね。E4UAでは新製品に追従する事も大事ですが、過去に販売されていたモデルのケーブルも、やはり使われている方は多いでしょうし今後も製作していこうと考えています。
今回は、ER-4S・・というかBA1発のイヤホンに必ずと言って良いほど存在する負荷抵抗、これをVishay VARを使用し、ケーブル製作をできないかというご依頼でした。
実は以前にもこのご依頼は頂いていましたが、VARの素性を考えると当時はこれを扱う事ができず、お断りしていたものです。
VARの素性と言いますと、この抵抗器はスケルトン抵抗です。スケルトン抵抗は通常の抵抗器とは異なり、樹脂などでモールドされておらず、抵抗体(VARの場合は薄膜金属)が曝け出されています。モールドされていない分、オーディオ用途で使用するととても精緻な音・・抵抗器を通している感じがしない音・・ですが、抵抗体がむき出しな為、使用するにはこの抵抗器の周りに空間を設けてやる必要が有ります。これをポータブルで使うからと言って収縮チューブやパテで覆ってしまうとスケルトン抵抗の意味が無いばかりか、抵抗体に降れる事は劣化を意味しますので音質の劣化が考えられますし、またVARである必要性が無くなります。つまり覆ってしまうならVSRやZ201で良いという事です。
スケルトン抵抗は金田氏考案のアンプに使われていたりなど、オーディオファイルの方々からは好評価を得ているものですが、据え置きオーディオではなく、今回はポータブルオーディオですので使用される雰囲気が全く違います。この雰囲気の違いをどう吸収しながらスケルトン抵抗を使うかが、今のE4UAには答えがありました。
答えですが、現在E4UAではアクリル形成でプラグボディを製作する事も行っていますが、スケルトン抵抗を小型のケースに入れ、これのケーブル出入り口をアクリル形成する事で、小型で邪魔になりにくい抵抗ケースを作る事ができました。内部にはきちんと空間が設けられており、スケルトン抵抗は何にも触れずに静置された状態で使用できます。空間はありますが外気の行き来は無くソリッドな状態ですので振動にも強く、ポータブルで少々手荒に扱われても永く使っていただけるものができたと思います。
線材はER-4S用としてもご好評をいただいているBelden1804Aの芯のみを2芯ずつ極細編組チューブに通し、これを再度ツイストしています。ブラックの編組チューブは純正ケーブルのように環境によく馴染みますので目立つ事はありませんが、よく見ると2本がツイストされたケーブルは、何かが違う事が分かるかもしれません。
ヘッドホン側プラグはE4UA標準在庫のプラグ軸と基板が別になったタイプの基板を切り出し、ボディをパテ形成、黒塗装、UVレジンコーティングしたものです。ケーブルブーツは編組チューブ内装式としている為、表には出ていません。UVレジンで編組チューブごと固定していますので、こちらもソリッドであり、UVレジンの傷のつきにくさと相まって永く使っていただけるものが出来上がりました。
今の所エージングを行われているそうでご感想はまだ頂いていないのですが、これは今後お聞かせいただけるものと思います。どうやらVishay VARはエージングで音が変わっていくそうで、個人的にもすごく楽しみにしています。
ありがとうございました。
7月7日追記 ご感想をいただきました。
そろそろ音質の方が安定してきましたので評価します。
まず総評としては素晴らしい!
この抵抗が定着するまで200時間ほどの時間がかかり
50時間が過ぎた頃変化がありまし
そして100時間経過したあたりからフラットで
それから200
300時間、
超精密な抵抗器はエージングにも時間がかかるのでしょうか。それともVARだけの特徴なのでしょうか。200時間のエージングで、やっと良いと思える音に変化するのは、それに耐えられる人でないと使うことも許されないケーブルになってしまいました。喜んではくださいましたが、万人向けではないですね・・
ありがとうございました。
ER-4S用ケーブル 120cm 分岐長40cm
線材:Belden1804A
外装:極細ナイロン編組チューブ ブラック
ヘッドホン側:ER-4S専用プラグ パテ形成 UVレジン仕上
アンプ側:2.5mm4極 AK-2.5mmPLUG
負荷抵抗:Vishay VAR 100Ω
商品代 23894円 (価格は製作当時のものです)