DigiFi No.22付録 バランス出力対応ヘッドホンアンプ改修

DigiFi No.22付録 バランス出力対応ヘッドホンアンプ改修のご依頼をいただきました。
(長文です)

今回の改修では、以下のようなポイント

スッキリ クッキリ ワイドレンジ ←最重要ポイント
中・高域の伸び感
ボーカルを前に出す

で、好音質化ができればなー と考えておられました。
が、、、、結構難しいですね。
と言いますのは、DigiFiアンプで使われている部品と言えば、音の通り道には
オペアンプ
抵抗器
コンデンサ
これのみで、これらの組み合わせで音も変化していきます。
中でもオペアンプの変更は後からでもできるものではあるのですが、ここでの変化量が最も多くなります。抵抗器とコンデンサは使われている数が多い為、全てを交換する事は難しく、またオペアンプの前後にもある為それぞれバランスを取ってやるのも難しい所です。

過去にも書きましたDigiFiアンプの改修では、全てにおいてカップリングの電解コンデンサに並列されている積層セラミックコンデンサ(以下積セラ)の交換を行っています。
積セラは音楽よりも遥か上の帯域ではとても安定した品質でまた安価なものですが、こと音楽の帯域ではこれを通過すると音のザラつきや曇り、音が平坦に感じる原因になります。ですのでカップリングにある積セラは全てフィルムコンデンサ Panasonic ECPUに交換しました。

カップリングのコンデンサはこの積セラの他に電解コンデンサが有ります。ここも音質に結構大きく関わってくるポイントです。が、基板のサイズは既に決定しており、またケースにも入れなければいけない為、何でもいいという訳でもない所です。

今回はバランスエンド側はオペアンプにMUSE01にされている所から、オペアンプ前は東信 Jovial UTSJ オペアンプ後はELNA SilmicIIとしました。
MUSE01がふくよかながらも歯切れのいい優等生な鳴り方をしますので、Jovialで弱ドンシャリ傾向にしてやってからMUSE01で膨らませ、これをSilmicIIでシルキーに均してやるようなイメージです。

シングルエンド側はオペアンプはLME49720にされている所から、オペアンプ前はニチコンKT、オペアンプ後はELNA RA3としました。LME49720はナチュラル志向な音な為、どちらかというと濃い音のコンデンサの選択でオペアンプの性質をさらに伸ばしてやれそうな気がした為です。
本当はオペアンプ後はバランスエンド側と同じSilmicIIを使用しようと考えていたのですが、これのサイズが想像より大きく入らなかった為、急遽RA3に変更となったものです。

抵抗器は全てを交換はしていません。交換した抵抗器は
R9,R10,R74,R75,R76,R77,R78,R79,R80,R81,R82,R83,R86,R87,R65,R66,R84,R85,R53,R54,
とずらずら書いてしまいましたが、特に重要と思われる所のみピックアップして交換しています。
抵抗器は先のDigiFiアンプの改修と同じでYAEGOの薄膜抵抗としています。

またDigiFiアンプは2系統の入力を持っています。RCAと3.5mmですが、これらは排他利用になっています。3.5mmジャックにスイッチが有り、これが挿入されると3.5mmからのみの入力を受け付けるようになっています。
この切り替えを受け持っているICが有り、その直後にバランス側とシングル側に分ける為のオペアンプが有ります。
このオペアンプはSMDタイプなのですが、このオペアンプも交換できればさらに音質追及ができるというもの。先日更新したHP-A4BL改修で行ったSOPオペアンプのDIP化と同じ方法で8Pソケットを取り付けました。

3.5mm入力部にはボリュームが有ります。これは便利なアイテムなのですが、蠕動抵抗はやはり音が悪くなってしまう部品でもあります。ノーマルは普及品でカーボン抵抗ですが、今回はここにHP-A4BLにも使用されているVishay P9Rを使用しました。薄膜プラスチック抵抗はとても繊細な音で高級機にも使用されており、3.5mm入力側の音を音量調節機能を持ちながらさらに高めてくれるものです。

さらには電源部の電解コンデンサは同耐圧・同容量で日本製電解コンデンサに変更しています。元々は中華製の電解コンデンサが付いていたのですが、何故か日本製の同圧・容量のものより小型に作られています。
小型な電解コンデンサは狭小部に入れるには良いのですが、サイズは余裕にも繋がりますし、容量は増やしていませんので音質的にはあまり変わらないとは思いますがやはり日本製は高信頼です。

ノーマルでは出力部のXLR3極x2とXLR4極はノーブランドのレセプタクルが付いていますが、これはNEUTRIK製に交換しています。その他の部品を交換する際にこれら大きい部品は取り外す必要が有るのですが、NEUTRIK製と同じピンアサインになっているノーブランド品はそのままNEUTRIK製に交換する事ができます。
NEUTRIK製のXLRレセプタクルは挿抜がとてもシルキーなタッチで気持ちが良い為、交換できる時に交換してしまう事をお勧めしています。

お写真とご感想をいただきました。

DigiFi22付録は依頼前と比べ、ボーカルと楽器のバランスや分離感が良くなり、
全域で超高解像な「鳥肌モノ」の「シビれる」機器となって帰ってきました。
もはや付録のレベルを超えており、部品をほぼ総て取り替えていただいた甲斐が
ありました。部品選定に必要な情報も随時懇切に頂けたので、納得しながら仕様を
決定する過程を楽しむこともできました。

また、パターン剥離したときは万事休すと思いましたが、修復後のHP-A4BLは依頼前と
同様の音質となっており安心しました。5つのオペアンプは、バッファ:MUSES02、
電圧増幅・LPF:OPA2134各1、I/V変換:LME49720NA各1 で現在楽しんでいます。
最良の組合せはゆっくり選定していきたいと思いますが、的確にレスキューいただき
大変感謝いたします。

また後日談として

昨晩もDigiFi No22付録を試聴しましたが、分離感は左右だけでなく、
上下さらにやや後方からも聴こえるようで、チップ抵抗の段で解説
いただいた「音の立体感」に包まれるような心地です。

特に大編成オーケストラなどでは、楽器各個の描写が滲まずクリアに
聴こえる点も驚きでした。手持ちの音源やヘッドホンの特性を十二分に
発揮するには、DACよりもオペアンプ・コンデンサ・抵抗等の部品選定や
組合せが重要となることを認識しました。

付録本体の数倍のコストが掛かかるものの、同価格帯の既製品では決して
得られない自分好みにフィットした音質を、入念な仕様決定を通じて
手にできるのが、オーディオ機器改造の醍醐味ではないかと思います。

アナログ部品の勉強にもなりましたし、大変よい成果物をいただき
誠にありがとうございました。

HP-A4BLは現状でもクリアで美音ですが、改造後付録に負けてしまったので、
オペアンプの組合せでさらなる音質向上が見込めるか楽しみです。 

DigiFiアンプがHP-A4BLに打ち勝つとは・・
HP-A4BLはDAC入りでとても使いやすく、音も良いものだと思いますが、アンプのみのDigiFiアンプが勝つとは思ってもいなかったです。付録のアンプですがモンスターになって戻ってきた感じですかね・・
HP-A4BLもオペアンプの選択の自由が生まれた事で、さらなる音質追及もしていただけるようになりました。

ありがとうございました。

DigiFiNo.22 ヘッドホンアンプ 改修 商品代 34906円 (価格は製作当時の物です)

Fostex HP-A4BL 改修 商品代 7140円 (価格は製作当時の物です)

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