ULTRASONE Tribute7用ケーブル Belden1804Aツイスト 200cm メタル編組チューブ仕上げ

ULTRASONE Tribute7用ケーブル製作のご依頼をいただきました。

同ヘッドホンはULTRASONE25周年を記念し、またEdition7に思いを馳せ、称賛するように世界限定777本作られたモデルです。
音の傾向はEdition7と似ているようですが、現在のULTRASONEの進化した技術を投入されて製造されており、またケーブルが交換可能な為リケーブルによる音質追及も可能なモデルとなっています。日本国内にも少しの数あるようで、E4UAにもたまにですがケーブル製作のご依頼をいただきます。今回はそんなTribute7用ケーブル製作のご依頼でした。

ご依頼いただいた方からは
・低域の切れが良く、音像・定位の良いもの、全長は200cm
とのご要望をいただいており、私はBelden1804Aを片チャンネルに1本ずつ使用し、ストレート部はこれを捻じった構造で製作する事をお薦めさせていただきました。
Belden1804Aは本来は細身のマイクケーブルであり、とてもしなやかで柔らかいカッド(4芯)の線材です。マイクケーブルとして使用する際は4芯が十字の形に並んでいる対面同士をHot2本、Cold2本として使用します。こうする事で、特にマイクの信号やヘッドホン用に転用する場合は平衡伝送(バランス接続)の場合、電磁誘導による対ノイズ効果もを期待できます。
カッドを左右のHotと左右のColdとして用いて簡便なステレオケーブルとして使用する事も可能ではありますが、ステレオでS/N比を高める為に対ノイズ性能を上げるにはカッドを2本用いる事が、スペース的制約を考えないのであれば最良と言えると思います。
今回は接続されるアンプがバランスアンプであり、XLR3極x2の構成であった事からBelden1804AのシールドはGNDに落とし、また外装のメタル編組チューブも同様にGNDに落としています。こうする事で外来ノイズを効果的に遮断する事ができ、これもまたS/N比向上に役立ちます。

Tribute7はヘッドホン側は2極のプラグで接続されGNDは配されていませんが、ケーブルはヘッドホン側プラグまできっちりとGNDは伸びています。ヘッドホン側プラグは3極のものを使用していますが、これはHD598用のプラグで、RingとSleeveを導通させて2極として使用しています。HD598で使用するとGNDがヘッドホン側プラグで合流してしまい、折角のSENNHEISERのGND分離接続ができなくなってしまいますのでこのプラグの出番はかなり少ないのですが、Tribute7やその他のヘッドホンで流用可能な事が判明していますので使い手は有るプラグです。
Tribute7のロックピンの位置は把握していますので、接続・ロックした時に丁度テンションが無くなるような位置にプラグを取り付けています。Belden1804Aとメタル編組チューブの構成は捻じれに大変強い構造になりますので、こうしないと使用中にケーブルが脱落してしまう事が有り、ケーブル製作の上では仕上げレベルを上げるポイントでもあります。またケーブルブーツを兼ねて透明赤の収縮チューブにて右側を識別しています。

線材はストレート部では捻じった構造、アンプ側・ヘッドホン側分岐部ともに全てメタル編組チューブ仕上げとしており、対ノイズ性能を上げ、また重量増加によるタッチノイズ軽減もできています。メタル編組チューブは金属箔を圧着したアラミド繊維を編み上げた構造になっており、ポータブルで使用するには少し重量増が気になる所ですがこの重量がある事でタッチノイズを効果的に抑制する事ができる、良いものです。
最近の規格である4.4mm5極接続などはSleeveにきちんとGNDが配されていますので、ここにメタル編組チューブを接続する事でポータブル環境でもヘッドホン側プラグまで(さらにはbeyerdynamicのT1/2Gの系統やSONYのMDR-Z7の系統であればヘッドホン内部にまで)GNDを配してやる事ができ、S/N比を上げてやる事ができます。

アンプ側プラグは高品質で比較的低価格なNEUTRIK製NC3MXX-Bと、右識別の為の赤リングXXRを使用しています。

 

ご感想をいただきました。

先日はケーブルの作成ありがとうございました。

約20時間程聴かせていただき、音質も安定して参りましたので
簡単ですが感想を述べさせていただきます。

【現在の環境】

(電源)        PSオーディオ Power Plant Regenerator
(クロック)      Antelope OCX
(トランスポーター)  Esoteric K-03
(DAC)       CHORD DAVE
(プリアンプ)     Esoteric C-03Xs
(パワーアンプ)    OJI SPECIAL BDI-DC44A

【音質感想】

①こちらの希望通り非常に締りのある音質であったが、解像度が高すぎて非常に緊張感があり、高音が刺さるギリギリのラインで、聴き疲れする音質であった。(この時点で、銀コート線は合わなかったのかと少し後悔する。)

②自分自身が解像度の高い音が好きである為、トランスポーターとDAC間、DACとプリアンプ間及びプリアンプとパワーアンプ全てにアコースティツク・ゼンの7N純銀線を使用していますので、プリ・パワーアンプ間をヨルマのNo3の銅線に変更してみました。

③変更後、聴いてみると解像度がほんの少し落ち、非常に耳触りの良い音質となり、逆に艶が増し、ゾネのヘッドホンでは有得無い程の音空間の広がりを感じ、ボーカルや楽器がどの位置で演奏されているのかが、はっきりと分ったのが本当に驚きました。(巷では人気の無いTribute 7ですが、酷評されている人達に聴いていただきたい位の高性能ぶりです。)

上古代様の制作ケーブルで性能が発揮されました。本当にありがとうございました。(性能が高すぎてラインケーブルの質を落としたのはご愛敬と言う事で・・・笑)

【商品の質感】

非常に細部まで丁寧に作成されており、さすが職人さんの一点物と大満足です。

ヘッドホンで音楽を楽しむ為の、最良・最高とも言えるような構成でお使いいただけました。なかなかここまでの環境をお持ちの方はおられず、またご感想をいただける事も稀な事もあり、私の製作しましたケーブルでも十分な性能を発揮させる事ができた事を嬉しく思います。

Tribute7はヘッドホン本体はとても良いものなのに、純正ケーブルがポータブル専用のような構成になっているのもあり、据置でじっくり楽しみたい人が取り残されてしまっている感じがします。数量限定のヘッドホンではありますが、純正バランスケーブルはポータブル以外のものも揃えてほしい所ですね・・

ありがとうございました。

 

 

ULTRASONE Tribute7用ケーブル 200㎝
ヘッドホン側分岐長 35cm
アンプ側分岐長 20cm
E4プレート・シリアルナンバー有
線材:Belden1804A
外装:メタル編組チューブ(細)
ヘッドホン側:2.5mm2極 HD598用プラグ
アンプ側:XLR3極 NEUTRIK NC3MXX-B XXR2
商品代 26618円 (価格は製作当時のものです)